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ローカルベンチマーク

経済産業省は企業の経営状態の把握を行うツールとして「ローカルベンチマーク」を策定し、平成28年3月4日から公表しています。

ローカルベンチマークとは

ローカルベンチマークとは、企業の経営状態を把握するための「健康診断」を行うツールとして、企業経営者、金融機関、支援機関等が企業の経営状態を共有し合い、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みでもあり、そして事業性評価の入り口として活用されることを目的としています。

具体的には「ローカルベンチマークツール」を活用して、財務情報(6つの指標)、非財務情報(4つの視点)に関するデータを入力します。そして、その結果を経営者、金融機関、支援機関が情報を共有し、自社の位置付けについて理解が進み、対話が深まることが期待されます。

ローカルベンチマークを活用することで、企業の経営力を把握することができ、かつ経営状態の変化に早めに気づき、早期の取組みや支援につなげていくことができます。

企業と金融機関との関係は何となく対立し合うイメージがあります。しかし、そのような関係ではなく、企業は金融機関に自社の情報を積極的に開示し、金融機関は企業の財務数値以外の面も評価し、企業の成長性にもしっかりと目を向けるべきで、そのためのツールがこのローカルベンチマークなのです。

経済産業省のローカルベンチマークのページはこちらです。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/

エクセル形式のローカルベンチマークツールもここで提供されています。

6つの財務指標

ローカルベンチマークで採用されている財務指標は以下の6つです。

売上高増加率(売上持続性)

売上高増加率=(売上高/前年度売上高)-1
キャッシュフローの源泉。企業の成長ステージに有用な指標

営業利益率(収益性)

営業利益率=営業利益/売上高
事業性を評価するための、収益性分析の最も基本的な指標。本業の収益性を測る重要指標

労働生産性(生産性)

労働生産性=営業利益/従業員数
成長力、競争力等を評価する指標。キャッシュフローを生み出す収益性の背景となる要因として考えることもできる。地域企業の雇用貢献度や多様な働き方を考えれば、本来、「従業員の単位労働時間あたり」の付加価値額等で計測すべき指標

EBITDA有利子負債倍率(健全性)

EBITDA有利子負債倍率=(借入金ー現預金)/(営業利益+減価償却費)
有利子負債がキャッシュフローの何倍かを示す指標、有利子負債の返済能力を把握する指標の1つ

営業運転資本回転期間(効率性)

営業運転資本回転期間=(売上債権+棚卸資産-借入債務)/月商
過去の値と比較することで、売上増減と比べた運転資本の増減を計測し、回収や支払等の取引条件の変化による必要運転資金の増減を把握するための指標

自己資本比率(安全性)

自己資本比率=純資産/総資産
総資産のうち、返済義務のない自己資本が占める比率を示す指標であり、安全性分析のもっとも基本的な指標の1つ

財務分析の入力画面

財務分析の入力画面はこのようになっています。

財務分析の結果

そして、結果はこのように表示されます。

今まで金融機関が財務分析をすると、返済能力や安全性を重視する傾向にありました。今回示された6つの財務指標の中にもそれらはありますが、生産性の指標として労働生産性が追加されています。労働生産性は重要な財務指標の一つではありますが、金融機関ではあまり重視されていませんでした。

しかし、今回採用されている理由は、地方の人口減少により地域経済が衰退していくことが見込まれ、そのためにも地域企業の「稼ぐ力」の向上が必要と国は考えているのです。企業にとって最大の資産かつコストである人件費が生産性向上に結びついているか、人材を活用できている企業なのかが問われるようになったのでしょう。

4つの視点

企業を診断する場合、財務データだけでなく非財務情報も大切です。
非財務情報を把握し、対話を深めるための4つの視点については以下の通りです。

経営者への着目

中小企業では経営者が与える影響は大きく、経営者の優劣が企業の将来を決めるといっても過言ではありません。よって、経営者自身を知る事、そして後継者の有無は重要といえます。
・具体的な項目(例)「経営者自身のビジョン、経営理念、後継者の有無」

企業を取り巻く環境、関係者への着目

企業の積極的な成長のためにも、外部情報の収集、外部環境に対する戦略、リスクマネジメントができていることが必要です。また、取引先からの評価、従業員、銀行との関係を以下の項目で着目することも必要といえます。
・具体的な項目(例)「市場規模、シェア競合他社との比較、顧客リピート率、主力取引先企業の推移、従業員定着率、勤務日数、平均給与、取引先金融機関数とその推移、金融機関との対話の状況」

事業への着目

企業の沿革そして強みや弱みを詳しく知ることは、成長要素があるかどうかの判断基準となり、現状及び将来の成長予測がしやすくなります。また、これからは企業が生き残っていくには生産性向上が必要です。ITの能力、イノベーションが欠かせません。
・具体的な項目(例)「企業および事業沿革、技術力・販売力の強み、技術力・販売力の弱み、ITの能力」

内部管理体制への着目

中小企業ですと、同族会社等による属人的な経営をしていることが多く、内部管理体制が整っているか、そして、目標の共有、人材の育成、適切な配置、技術やノウハウの継承がなされているのかも大切です。
・具体的な項目(例)「組織体制、経営目標の共有状況、社内会議の実施状況、人事育成システム」

非財務ヒアリングシート

非財務ヒアリングシートはこちらになります。

こちらのシートは、業務フローや差別化のポイントを確認するために利用します。

非財務情報について以上の4つの着目的に整理しています。金融機関と支援機関としては、対象企業が何で収益を上げ、それをどのような仕組みで実現しているのかを理解し、事業の強みと問題点がどこにあるのかを把握し、融資等の支援を行いたいところです。

そして、企業側も決算書には出てこない自社の情報を開示し、自社の強みを客観的に説明し、課題や問題点についても自社で把握することで、改善の支援やアドバイスを求められるようにしましょう。

結果に一喜一憂せず活用を

このローカルベンチマークは、企業、金融機関、支援機関等が企業の現状や問題点を把握・共有し、どのように改善していくべきなのかを考え実行していくために活用するものです。財務情報については数値で結果が出てきますが、この結果に一喜一憂する必要はありません。経営者が現状を認識して、問題点を今後どう改善していくかが大切なのです。ぜひこのツールを上手に活用していきましょう。

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