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消費税の納税対策

消費税額を計算するには、本則課税(一般課税)と簡易課税の2種類があります。

ここは税金の計算を詳しく説明する場ではありませんから、本則課税のみ簡単に説明しますが、売上高等に含まれる消費税額から、経費等の支払いで負担した消費税額の差額を申告・納税します。

したがって、預かり分よりも支払い分が多ければ還付されます。

預かり分と支払い分の差額を納めるだけならシンプルに感じますが、次で説明するように消費税は厄介な税金だと感じたことはないでしょうか。

消費税を滞納する企業は多い

消費税額の計算は原則、預かり分と支払い分の消費税額の差額になります。しかし、利益は出ていても売上代金の入金遅れ、借入金返済、設備投資等、様々な理由で資金繰りが悪化し、納税資金を準備できなくなってしまうことがあります。

しかも利益がトントンや赤字であっても、人件費や社会保険料等の消費税が発生しない経費が多額にあれば、通常は消費税額が発生します。そのため、経営者には厄介な税金と感じるはずです。

資金繰りが苦しいため、分割で納付する、または滞納している企業は多いのです。

消費税の中間申告と納税

消費税には中間申告制度が設けられています。

中間申告が必要な事業者

法人の場合は前事業年度(個人事業主なら前年)の消費税の年税額(地方消費税額は含めない)が48万円を超える者には、中間申告を行う必要があります。

中間申告と納税

法人税の場合、中間と確定の最大2回までですが、消費税については、直前の課税期間の確定消費税額に応じて次のように中間申告をしなければなりません。

小規模企業であれば前期の消費税額は48万円以下が多いでしょうが、年商数億円規模になってくれば、年4回(中間3回、確定1回)になる企業も多いはず。本来なら1年間の税額を計算し1回で納税すればいいものを、期中で何度も前払いをしなければなりません。それだけ資金繰りに影響するでしょう。

仮決算に基づいて申告・納税

前期の確定消費税額から中間納税額を確定させる方法もありますが、仮決算を行いそれに基づいて消費税額を計算することもできます。

消費税の中間納税は特に申告手続きをしなくても、前期年税額を基に計算された税額が印字された納付書が送られてくるかと思います。それを使って納付すれば完了です。

しかし、前期より業績が大きく悪化している場合、仮決算を行い申告したほうが税額は少なくて済みます。税理士に依頼すれば申告報酬が発生しますが、急激な売上高減少に見舞われたのなら申告手続きをしたほうがいいでしょう。

納税対策

このように消費税は赤字でも発生することが多いですし、しかも前期の消費税額に応じて複数回の中間申告・納税が発生しますから、資金繰り的には面倒な税金です。

税金未納があれば銀行からの資金調達にも影響します。そのためにも次の対策を行ってください。

決算予想を行う

決算月の2,3カ月前には決算予想を行いましょう。そして納税額がどの程度になるのかを試算します。そのためには経理業務を疎かにしないことです。経理専属の社員がいる企業であれば、その点はクリアできるかと思います。

しかし、会計ソフトを使った処理を経営者や家族が片手間にやっている、あるいは税理士事務所や記帳代行会社に依頼しているのなら、迅速に必要書類やデータを渡すようにしましょう。

税抜経理なら、試算表の貸借対照表に「仮受消費税」と「仮払消費税」が発生します。試算表の画面で集計期間を1年にすれば差額が年税額です。中間納税があればそれを差し引いた額が申告時の納税額となります。

税込経理であっても、通常の会計ソフトなら税抜経理で表示することが可能なはずです。

もし売上高や利益に大きな変化がなければ、前期に近い消費税額になると考えればいいでしょう。

資金繰り管理

いついくら発生するのかは予定納税なら前期の申告書から、また決算予想から申告時の税額が分かります。それらを資金繰り表に反映させてください。

そして資金繰り見通しから納税資金が不足しそうであれば、一日も早く銀行への融資を検討します。

本来、消費税納税資金は融資の対象外です。顧客から預かった資金を流用しているのに、納税資金を融資で対応するのは好ましくないからです。

しかし、預かった消費税分を事業資金として使用していることが多いでしょうから、現実的には運転資金として調達し納税するのはよくあることです。

もし資金繰りの問題から滞納してしまった、あるいは納税期限が近く資金調達が間に合わない場合、次の対策を検討しましょう。

  • 税務署と交渉し分割納付を認めてもらう
  • 納税を優先させるためリスケジュールにより返済額を軽減してもらう
  • ノンバンク、経営者の自己資金や個人ローンで資金調達をする
  • ファクタリングを使って売掛金を早期に資金化する(お勧めはしませんが)


税金を期限後に納付すれば延滞税が発生します。この記事を書いている令和5年5月31日現在、法定期限の翌日から2カ月を経過するまでは年2.4%、2ヶ月を経過した日からは年8.7%です。詳細は国税庁ホームページ「延滞税について」をご確認ください。

銀行からの融資が受けられなかったとしても、延滞税の利率よりも低い金利で資金調達ができるのであれば検討してもいいでしょう。

納税額を積み立てる

消費税は課税期間の短縮という制度があり、それを利用すれば毎月ごとまたは3か月ごとまたは1か月ごとに申告できる方法があります。しかし、事務作業は煩雑になりますし、税理士報酬も負担になるでしょうから現実的とはいえません。

そこでおよその税額や納付月は分かるのですし、預金口座にあると使ってしまうとお悩みであれば、あらかじめ積立預金で消費税額分を積み立てる方法もあります。

またこれはごく一部の信用金庫でのみ取り扱っているのですが、納税にあたり積立預金の満期分では不足する場合、融資を検討してくれる預金商品もあります。ネットで確認したものをいくつかご紹介します。

消費税納税定期積金を取り扱っている信用金庫の例

どれも不足分については融資を検討してくれる預金商品です。融資ですから審査によっては応じてもらえない可能性もありますが、もし御社の近くにこれら金融機関があれば取り引きをしてみるといいでしょう。

2025年1月26日更新

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