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自治体の制度融資

地方自治体(都道府県、区市町村)には、中小企業が通常の融資に比べ、低金利で融資を受けやすくするための制度融資という融資の制度を用意しています。

自治体としては、地元中小企業の成長や経営安定化、創業支援、産業振興等地域経済の発展のために行っています。

制度融資は自治体が主体となって、融資の各制度が設けられ、それに銀行と信用保証協会が協力する仕組みとなっています。

制度融資は自治体によって取り扱いが異なります。東京都と港区を例に挙げてみます。

東京都の制度融資の場合
中小企業は取引銀行に制度融資を申し込みます。そして、銀行を経由して信用保証協会に保証を申し込み、保証の承認が出れば融資が実行されます。これだと通常の保証協会付き融資と同じですが、東京都は過去の利用実績に応じて融資の原資となる預金をすることで、中小企業がより円滑な資金調達をできるようにしています。また、融資メニューに応じて、信用保証料の一部を補助することで、中小企業の利用時の負担軽減を図っています。

✔港区の制度融資の場合
銀行に制度融資を申し込むのではなく、まず港区に制度融資の申し込みをします。それに応じて港区は専門家(中小企業診断士)が面談を行います。そして申し込みに問題がないと判断されると「あっせん書」が発行されます。中小企業は銀行に申し込む時にこのあっせん書を提出し、それ以降の流れは保証協会付き融資と同じです。

このように自治体によってあるいは制度によっては、専門家との面談が義務付けられていたり、書類を準備して自治体に行ったりする必要があり、融資が実行されるまでの期間が通常より長くなってしまうことがあります。

この制度融資のメリットは

  • 1
    自治体が関与してはいますが、銀行に対して制度融資実行を強制するものではありません。しかし、銀行や信用保証協会は審査に前向きになる傾向があります。
  • 2
    多くの場合は、制度によって金利等の条件が決まっており、低金利や長期で資金調達できるものが多い。
  • 3
    自治体によって異なるが、支払利息あるいは信用保証料等の一部を自治体が負担してくれる。

というように融資を受ける中小企業側としてはメリットが多いです。

デメリットとしては

  • 1
    自治体や制度によって中小企業診断士等の専門家との面談が必要ですこし面倒。
  • 2
    制度内容にもよりますが、自治体が絡む場合(あっせん署をもらったり、専門家との面談等)は融資実行までに時間がかかることが多い。
  • 3
    特に市区町村の制度融資の場合、融資限度額が低く多額の資金調達には向いていない。

また県によっては、制度によって利用できる銀行に制限のあるものもあります。

千葉県の制度融資だと、一部制度は千葉銀行、京葉銀行、千葉興業銀行等千葉県に本店がある銀行のみの取扱となります。みずほ銀行や三井住友銀行等千葉県以外に本店がある銀行は、たとえ千葉県に支店があっても、利用できない制度融資がありますから注意が必要です。

このように制度融資は各自治体によって利用の流れや内容は千差万別です。申し込み先だけでも自治体によって異なります。銀行で申込ができるものもあるし、申込書類を自治体にもらいに行かなければならないところもあります。

銀行の担当者が制度融資の詳細を知らないことも多いので、相談に行くときは資料などを持って行ってあげるといいと思います。

制度融資についてすべてを解説するのは難しいので、制度融資を利用する前に自治体のホームページや電話で、または取引銀行に必ず確認してください。

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