資金繰りや経営の改善、経理に強い銀行融資コンサルタント会社。銀行融資取引、資金調達、経理業務、資金繰り・経営改善でお困りの中小企業を応援します。
企業が銀行に融資を申し込む場合、調達する資金には使途が必ず存在します。銀行員は企業から融資の申し込みがあった際、資金使途をしっかり検証することが融資業務の基本となります。必ず資金の目的や金額を正確に把握しなければなりません。資金使途の確認は融資業務において最も重要なところです。
そこまで資金使途にこだわる理由は、融資した資金が企業の成長や安定に貢献し、当初の約束通り返済できるか極めるためです。
それに資金使途が明確になると返済原資が分かります。それによって返済方法も決まるのです。
例えば、機械を購入するとしましょう。何年にもわたって稼働し製品を作り続け利益を生み出します。さらに機械を使い続けることによって発生する減価償却費は資金流出を伴わない費用ですから、返済原資は「利益+減価償却費」となります。少なくとも耐用年数程度は使用できますから、5年とか10年といった長期間の返済となります。
もう一つの例として、夏場に売れるビールを大量に仕入れるとしましょう。そのために必要な資金を融資しビールを仕入れたら、7月から9月あたりで販売し代金を回収できますから、それが返済原資となりますし、融資実行から返済までの期間は数か月となります。
このように資金使途が明らかになれば返済原資や期間も分かるのです。
しかし、赤字が続いている企業が毎月の資金減少を補うために資金調達したとしましょう。その場合は返済原資がありません。資金流出の穴埋めをするだけですから。したがって、赤字企業への融資には慎重になるし、信用保証協会の利用、あるいは担保を求められるのです。
赤字企業であってもメインバンクは少なくとも信用保証協会が保証を出せば融資を検討するでしょう。経営改善の内容によってはプロパー融資もあるかもしれません。ただその場合は、どうやって黒字経営をめざしていくのか、そして利益から返済がどのように進むのか書類を使って説明が必要になります。
経営者が銀行に嘘の資金使途を伝えてくることもあります。例えば、実際は赤字にょる資金流出を補填するための資金が必要なのに、売上増加に伴う増加運転資金が必要になる等です。
そのために決算書や試算表の数字をきれいに見せて、前向きな資金需要に装うのです。
騙すつもりなんてない場合も多いと思います。
どんな資金使途であっても「資金が足りなくなった(足りなくなりそうだ)から融資をお願いします」と説明する経営者は多いでしょう。
能力の高い銀行員なら本当の資金使途を見抜くかもしれませんが、最近は銀行員の立場が弱いことや、信用保証協会の保証や不動産担保があれば融資をするといった営業目標が優先される傾向にあります。だからあまり細かく聞かれないことも多いかもしれません。
しかし、中小企業経営者は、本当の資金使途を隠さず伝え、必要額はいくらなのか、どのように返済していくのか、それらを銀行員に伝え、説明書類を提出することが必要ですし、取引銀行との信頼関係を維持するためにも求められることです。
資金使途、必要額、返済原資、返済期間をしっかり説明できると、担当者の皆さんを見る目は明らかに変わります。
銀行員と融資交渉をするためには、口頭で説明するだけでは不十分です。
やはり書類を使って説明したほうが説得力は増します。
先ほどの機械購入であれば、機械導入によってどれだけの売上が発生し、それに伴う人件費等の経費が増加するのか、その結果として利益はいくら獲得できるのか投資効果が分かる計画書を提出しましょう。
ビールのように商品の仕入資金であれば、資金繰り表を作成しましょう。また、毎年夏場にビールを仕入れ販売しているのなら、過去の実績が分かる書類も添付することで、必要金額の妥当性を説明するのにプラスに作用するでしょう。
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