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赤字資金(赤字補填資金、赤字運転資金)とは、その名のとおり損益計算書で赤字を計上した企業の資金不足に充当される資金です。
赤字になる理由は、景気悪化に伴う売上不振、取扱商品(製品、サービス)の劣化、他社との競争力で劣勢にあるなどが考えられます。そして、一時的・一過性のものもあればそうでないものもあります。前者であれば今後の収益力に問題はないでしょう。しかし、長期に渡って営業利益が赤字に陥っているなら、事業そのものに構造的問題があります。
売上高増加策は無論のこと、借入金返済による支払利息削減、販管費に計上される固定費の削減で黒字にさせることが必要です。
赤字資金は業績不振企業で発生する資金需要ですから、銀行にとってリスクのある融資です。このままでは返済原資が発生しません。したがって、原則的には融資での支援は避けたいのが本音です。
本当は赤字資金であるにもかかわらず、企業は「今回の資金使途は赤字資金です」と銀行に伝えたのでは融資が出そうにないため、「運転資金を貸して欲しいのですが」と実際の資金需要を隠して申し込み、さらに赤字を黒字に粉飾した決算書を提出することが多いでしょう。
しかし、銀行は経営者から説明のあった資金使途が本当なのか検証するでしょうし、見破られる可能性があると考えたほうがいいです。
赤字資金は赤字による損失を補填するための資金です。したがって、返済原資はありませんから、銀行としては融資での支援を避けたい資金需要です。
しかし、赤字はどの企業でも発生するものであり、それだけで謝絶される結果になるとは限りません。特にメインバンクの立場にある銀行は、何とか支援できないか検討しようとします。取引履歴、経営者の能力や信用力を勘案して応じてもらえる可能性はあります。ここで支援を打ち切れば、これまで融資した分が回収できなくなるリスクを回避したい目的もあります。
とはいえ、無条件で応じるわけにはいきません。赤字の実態と原因に対して適切な対策を打つことで、確実に黒字体質になると判断されることが必要です。なぜなら、赤字資金を融資した返済原資は、黒字化して得られるキャッシュだからです。
現状では赤字に陥る経営課題があっても、これからの経営改善によって業績の立て直しが経営改善計画書で十分に見込まれる必要があります。もちろん計画内容は実現可能性の高いものでなければなりません。計画には次の内容が必要です。
・実質債務超過であるか否か
・窮境原因は何か
・黒字化の見通しはあるか(予想損益計算書)
・債務超過は解消できるか(予想貸借対照表)
・債務償還年数は正常な範囲内に改善されるか(理想は10年以内)
理想は10年以内と書きましたが、現実には容易ではない企業が多いでしょう。10年を超えるのは仕方がありませんけど、何十年となってしまうのは問題です。
計画書に加え資金繰り予定表も作成し、資金繰りが維持されることを説明できるようにしましょう。
いくら経営改善計画の内容が実現可能性の高いものであっても、将来の利益から生まれるキャッシュフローは不確実なものですから、銀行は最悪の場合を想定し保全面を強化する必要があります。
まず考えられるのが不動産でしょう。企業または経営者が所有する不動産の担保提供を求められる可能性があります。
しかし、担保となるような不動産がない、あったとしてもすでに担保提供されており余力がない場合が多いと思います。その場合は信用保証協会の空き枠を確認し保証が得られる可能性を検討します。
このように赤字資金は銀行が慎重になる資金使途ですから、メインバンクまたは準メインバンクを相手に交渉します。
交渉が難航することもあるかもしれません。そんな時、取引銀行がすぐに融資をしてくれないからと、これまで取引のない銀行に相談をする経営者がいます。しかし、取引のない銀行がリスクある融資に応じることはまずありません。自社の支援に協力的な取引銀行と交渉し、もし融資が受けられない場合はリスケジュールによる資金繰り改善で対応してもらいましょう。
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