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決算書を見つめながら、「今月もまた役員借入金が増えてしまったな……」と溜息をついていませんか?

経営者が個人のお金を自社に入れる。それは一見、会社を想う強い責任感の現れであり、自社のために尽くしているようにも見えます。しかし、資金繰りのプロや銀行員の視点からはプラスに評価できません。なぜなら、社内の資金だけでは資金繰りが回っていない可能性があるからです。

役員借入金とは

役員借入金とは、文字通り「経営者(役員)個人が、自社に対して貸し付けているお金」のことです。

中小企業においては、以下のような場面でよく発生します。

  • 手持資金が足りていない
  • 銀行から思うように融資が受けられない
  • 銀行融資が実行されるまでの短期的なつなぎ資金
  • 創業間もない時期の運転資金の補填
  • 赤字が出た際の支払いの肩代わり

 

会計上、役員借入金は「負債」に分類されますが、銀行審査では「返済義務が低い資金」として、自己資本の一部(実質自己資本)とみなされる可能性があるプラスの側面もあります。

役員借入金の発生理由

なぜ、役員借入金は増えてしまうのでしょうか。現場でよく目にする理由は、主に以下の3つに集約されます。

  1. 日常の資金繰りの慢性的な不足 そもそも本業で現金を稼げておらず、毎月の支払いに足りない分を経営者がポケットマネーで補っているケースです。
  2. 運転資金のミスマッチ 「売上の回収は遅いのに、仕入れの支払いは早い」といった構造上の問題で、常に手元資金が枯渇している状態です。
  3. 銀行融資が思うように使えていない 本来、事業に必要な資金は銀行から借りるべきですが、業績不振や交渉力不足により、社長が「最後の貸し手」にならざるを得なくなっています。

このように、経営の「構造(仕組み)」の問題であることがほとんどです。

一時的なものなのか、常態的なものなのか

ここで最も重要なのは、その借入が「一時的な応急処置」なのか、それとも「常態化した前提」なのかを見極めることです。

  • 一時的な場合(健全) 「大きな受注があり、一時的に仕入れ資金が必要になった」「機械が故障して急な修理費が出た」など、理由と出口(返済の目途)が明確なもの。
  • 常態的な場合(危険) 「毎月の給与支払いのために社長が入金している」「いつの間にか増える一方で、一度も減ったことがない」という状態。

後者の「常態化」が続くと、経営者個人のキャッシュも底をつき、いざという時の選択肢が失われていきます。銀行も「社長の輸血なしでは生きられない会社」と判断し、ますます融資から遠ざかるという負のスパイラルに陥ります。

対応策(脱・経営者の財布経営を実現する3つのステップ)

「経営者の財布」に頼る経営から脱却し、企業が自立して現金を回すためには、以下の3ステップが必要です。

ステップ1:「なぜ発生したのか」を明確にする

まずは、役員借入金が発生した「真の原因」を特定しましょう。「売上の入金までのタイムラグ」なのか、「そもそも利益が出ていない赤字補填」なのか。原因が分かれば、打つべき手(回収条件の変更やコスト削減など)が見えてきます。

ステップ2:資金繰り表で「会社の自立度」を数値化する

決算書は「過去」の記録ですが、資金繰り表で「未来」の予測を行い、半年先までの現金の動きを可視化し、「経営者がお金を入れなくても回るライン」を明確にします。どんぶり勘定をやめることが、脱・依存への第一歩です。

ステップ3:銀行との融資交渉で「肩代わり」を解消する

経営者が個人マネーで支えているうちは、銀行は「まだ大丈夫」と静観します。あえて現状の窮状を正直に話し、個人資金の肩代わりを解消するための「運転資金としての融資」を相談しましょう。銀行資金へシフトさせることで、経営者個人の生活と信用を守ることができます。

結論:その「応急処置」を前提にしない

経営者が身を削って企業を守る姿勢は尊いものです。しかし、「経営者の自己犠牲」を前提とした経営は、決して長くは続きません。

役員借入金は、あくまで一時的な「止血」であるべきです。傷口を塞ぎ、自らの力で血(現金)を作れる体質に戻さなければ、いつか共倒れになってしまいます。

 

「このままでいいのか」という警告灯を無視せず、今こそ経営の仕組みを整理するタイミングです。

うちは大丈夫かな?と不安に思われた経営者様へ

「役員借入金が増えているが、何から手をつければいいか分からない」 「銀行にどう説明すれば融資に切り替えられるのか」

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まずは、役員借入金の現状や、今一番不安に感じていることを、お気軽にメッセージで教えてください。貴社の「自走」を全力でサポートします。


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2026/1/27
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代表者紹介

瀬野 正博

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著書紹介

『決算書の違和感からはじめる「経営分析」』(日本実業出版社)