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EBITDA有利子負債倍率とは、有利子負債がキャッシュフローの何倍あるのかを表す指標です。ローカルベンチマークでも採用されています。キャッシュを稼ぐ力の何倍の借入金残高があるのかを示しますから、数字は低い方が財務内容は良好といえます。
計算式は一般的に次のようになります。
EBITDA有利子負債倍率(倍)=(借入金−現預金)/(営業利益+減価償却費)
分子の借入金は、長期借入金、短期借入金(1年以内返済長期借入金も含みます)の合計額です。役員借入金については、通常約定弁済はしていないでしょうし、実質的には資本金のように取り扱っているでしょうからこの計算式からは除きます。
借入金と現預金は相殺をして、残りを実質的な借入金と見ることができます。余剰資金で返済しきれない分を実質的に返済負担を負う借入金と考えるわけです。
これであれば、資金繰りの安全性を目的に多額の現預金を確保したいからと、多額の借入を行えば多くの財務指標は悪化しますが、EBITDA有利子負債倍率なら現預金を控除しますのでそのようなことはありません。
なお、分子がマイナスになる場合があるかもしれません。それは借入金よりも多くの現預金があるわけです。つまり借入金を全額返済することができるわけで、実質的には無借金経営と一緒ということです。そんな企業の健全性は高いということです。
分母は営業利益+減価償却費です。
EBITDAとはEarnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、税金や支払利息そして減価償却控除前利益を指します。したがって、本来は「税引前利益+減価償却費+支払利息」となるのでしょうが、簡便的に「営業利益+減価償却費」を用いています。ローカルベンチマークでもこの計算式が採用されています。
分母はマイナスになることがあります。営業赤字が大きい場合は減価償却費を加えてもマイナスになるかもしれません。分子と違い分母がマイナスの時は要注意です。利益が出ていないのですから稼げていませんし、資金が流出している状態にあります。早急にプラスとなるよう経営改善が必要です。
このEBITDA有利子負債倍率ですが、何倍であれば適正なのか知りたいと思います。5倍や15倍と聞いてもそれが良いのか悪いのか分からないでしょうから。
これと似た指標に債務償還年数があります。計算式は次のとおりです(金融機関により若干異なります)。
債務償還年数(年)=借入金/経常利益-税金+減価償却費
※借入金から現預金や経常運転資金を控除したり、分母は営業利益+減価償却費を用いることもあります。
債務償還年数は10年以内なら合格ですし、10年をオーバーしても最悪20年以内であれば許容されます。したがって、EBITDA有利子負債倍率においても10倍以内が目標値となるでしょう。業種によっても異なります。宿泊業でこの基準を求めるのは厳しいでしょう。
ただ、どの利益を使うかによって大きく違うでしょう。
例えば、年商6,000万円、売上高に対する営業利益率が5%、借入金は売上の半年分3,000万円で金利は2%とします。
営業利益は300万円(6,000万円×5%)、経常利益は240万円(営業利益300万円-支払利息60万円)、減価償却費や税金を考えないとすれば、営業利益なら10倍(年)ですし、経常利益なら12.5倍(年)と異なります。
中小企業においては借入金が大きいことが原因で、営業利益の大半を支払利息に持っていかれてしまうことは多いですから、分母で営業利益を使うのであればやはり10倍以内は必要でしょう。
借入金が多いとその分だけ毎月の返済が負担になりますし、支払利息が増えてしまい収益力を悪化させます。損益計算書の最終利益は少額になり、借入金返済は進まず、手持資金も増えません。
この指標が悪化しているのであれば、早急に収益力改善を急ぎましょう。
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