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中小企業庁は、信用保証協会の保証付き融資の銀行(信金、信組も含みます)別代位弁済実績を、全国ベースで情報開示する方向で検討に入りました。公表される情報(件数、金額を中心に検討されているようです)や方法等について、信用保証協会と調整を進め、準備ができ次第、早急に公表する予定です。
銀行別の代位弁済実績については、すでに全国52の信用保証協会のうち31の協会では、自主的にホームページで公表しているのですが、中小企業庁は残りの21の協会に対しても、公表に向けた調整を進めていくことになります。
今年3月29日に参院財政金融委員会で、中小企業金融円滑化法の再延長等を審議した際、民主党の大久保勉議員から、銀行のモラルハザードを回避するためにも代位弁済を求めた銀行名を公表するよう要請されたことによります。
2008年10月31日〜2011年3月末に27兆2千億円の保証を受け付けた緊急保証制度は、100%保証であったこともあり利用件数・金額は多かった半面、代位弁済が増加しており今年2月までの累計額は7,541億円まで膨らんでいます。
全国の保証債務残高は2012年2月末で34兆円。代位弁済額はリーマンショック後に急増し、08〜09年度に2年連続1兆円を突破しましたが、2009年12月の中小企業金融円滑化法施行後は、リスケジュールによる資金繰り改善効果によって前年同月比で減少傾向が続いています。しかし、2013年3月末で中小企業金融円滑化法が終了すると、代位弁済の増加は避けられない見通しです。そこで銀行別代位弁済額を公表することで、今後の財政負担抑制と銀行のモラルハザードを防ぐことが目的です。
銀行からしたら、代位弁済額が公表され他行よりも悪い結果であれば融資にとってはマイナスに影響することも考えられ、案件によっては躊躇するケースも出てくるでしょう。
しかし、「危ない融資先だから信保をつける」とか「信保付きならリスクが少ないから管理が楽だ」、そのような理由で信保付き融資を推進する、あるいは、「信保がOKなら融資するけど、ダメならやらない」と、審査自体を信保に丸投げするような銀行(あるいは銀行員)も見かけます。銀行にそのような姿勢を少しでも改めさせるには、このような情報開示は仕方ないでしょう。
貸出審査への影響を懸念する声もありますが、代位弁済は最終的には税金投入を伴うことになるわけですから、これらの情報をオープンにするというのも透明性のために必要なことかもしれません。
2012年04月26日
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