銀行から「今回は総合的判断として、ご希望に添いかねる結果となりました」と告げられたとき、それは実質的な「お断り」を意味します。しかし、「総合的」という言葉には具体的なヒントが一切含まれていません。
実は、銀行員がこの言葉を使う背景には、組織としての事情や顧客トラブルを避けるための「防衛本能」が働いています。本当の理由を知ることは、自社の財務状況を客観的に見つめ直す第一歩となります。
なぜ、総合的判断という言葉を使うのか?
本来、銀行員が融資を断った場合、顧客にははっきりと理由を説明する義務があります。しかし、銀行員が頑なに具体的な理由を伏せ、「総合的判断」という言葉に逃げるのには明確な理由があります。
(1)理由をはっきり言うとトラブルになる可能性、「断った理由を改善したら必ず融資してくれるのか?」となるから
もし担当者が「自己資本比率が低いからです」と伝えた場合、経営者は「では、増資して比率を上げたら貸してくれるんだな?」と詰め寄るかもしれません。しかし、融資の審査は一つの指標だけで決まるものではありません。自己資本比率を改善しても、他の問題点で融資ができないかもしれません。
特定の理由を伝えてしまうと、それが「融資の条件」として一人歩きし、後々のトラブルに発展するリスクがあるため、あえて曖昧な表現に留めるのです。
(2)日頃の付き合いで言いづらい。他人のせいにしたほうが支店サイドは都合がいい
担当者や支店長にとって、良好な関係を築いている経営者に「あなたの会社は格付けが低いから貸せません」とは言いづらいものです。
そこで、「我々は通したかったのですが、本部(審査部)が……」「保証協会が……」と、決定権が自分たちにないような言い方をすることで、支店としての体面を保ち、今後の取引への影響を最小限に抑えようとする心理が働きます。
「本当の理由」を探ってみよう
「総合的判断」と言われたからといって、そのまま引き下がっては何も改善しません。角を立てずに、以下の質問を投げかけてみてください。絶対に怒りながら質問しないでください。落ち着いて冷静になって聞いてみましょう。そうすれば相手も教えてくれると思います。
(1)「弊社の財務面に問題がありますか?」
損益計算書(P/L)の利益だけでなく、貸借対照表(B/S)の資産内容や実質的な債務超過を指摘されないか確認しましょう。もし「財務面」と言葉が濁されたら、それは決算書の内容そのものに課題がある可能性が高いです。
(2)「条件を変更したら可能性はありますか?」
融資の期間を短くする、金利を上げる、あるいは融資額を減額するといった「条件変更」の余地があるかどうかを聞いてみましょう。これがNOであれば、条件云々の前に、企業全体の信用力や返済能力に根本的な疑念を持たれている可能性があります。
(3)「役員や株主に問題がありますか?」
意外と盲点なのが、経営者個人の属性です。他社での連帯保証債務や、過去の支払い遅延、反社会的勢力との関わりの有無など、企業の実績以外の部分で弾かれているケースもゼロではありません。
謝絶されたら、理由から次につなげよう
断られた事実は変えられませんが、その経験を「次」へのステップにすることは可能です。
(1)財務内容のどこを改善すべきか明確にしよう
まずは決算書を「銀行員の目線」で分析し直す必要があります。在庫や売掛金に実態のないものが含まれていないか、役員貸付金が重荷になっていないかなど、銀行が嫌がるポイントを一つずつ潰していく作業が必要です。
(2)担保や保証
今回、プロパー融資(保証協会なし)で断られたのであれば、保証協会付を検討する。あるいは不動産担保の積み増しが可能か検討するなど、保全策の強化が必要かもしれません。
(3)他行との付き合い方も視野に
一つの銀行に断られたからといって、すべての銀行がNOとは限りません。メインバンクとの関係を維持しつつも、自社のステージに合った別の金融機関(地方銀行、信用金庫、信用組合など)とのパイプを作っておくことがリスクヘッジになります。
「借りてください」と言われる経営をしましょう
銀行から「当行で借りませんか?」とお願いされるのが理想の形です。そのためには、銀行が格付けを行う際に重視するポイントを理解し、透明性の高い情報開示を継続することが重要です。
定期的な試算表の提出や、今後の経営計画や資金繰り予測などを共有することで、銀行にとって「安心できる取引先」へと成長していきましょう。
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