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売掛金とは取引先に対して通常の営業活動により生じる債権です。商品・製品やサービスを納品したが、現金や小切手・手形を受け取っていない「ツケ」のことです。建設業では完成工場未収入金という科目が多いかもしれません。
売掛金は最終的には現預金になりますが、その前に取引先が倒産すればほぼ回収不能となるリスクを抱えています。
銀行員は融資先の売掛金を注意深くチェックしています。
税務申告をする際、法人税の申告書と決算書だけでなく「勘定科目内訳書」も提出していると思います。それを見れば売掛金の各取引先の社名や所在地、そして期末残高が書かれています。銀行は次のような視点から内訳書をチェックしています。
月末締めの翌月末に入金される条件なら、月末が土日でない限り1ヵ月分の売掛金が計上されています。常に取引のある先なら残高は発生することになるでしょう。
しかし、そうでない取引先の売掛金残高が同額で1年以上残っているとしたら、その先は倒産している、支払能力がない、あるいはトラブルが発生し支払ってもらえないと考えます。そうなれば資産価値がない、あるいはそうなる可能性が極めて高い売掛金と判断します。
残高が同額ではなく多少は減少していたとしても、それでは全額回収までにかなりの期間を要することになりますから、やはり資産価値はないと判断されるでしょう。
代表的な粉飾方法として売上の架空計上があります。売上を計上したが回収がまだであれば、相手科目は売掛金になります。
しかし、回収見込みは(当たり前ですが)全くありませんから、いつまでも残ったままになります。
そこで粉飾はしたものの、実体のない売掛金を内訳書に書く際、企業名を「その他」にしていることが多いと思います(稀に架空の企業名を書いている手の込んだ粉飾もあります)。少額の売掛金であればその他で一括計上しても問題ありませんが、多額である場合は粉飾を疑われる可能性があります。
売掛金(未収入金)の内訳書の下に注意書きがあり、次のように書かれています。
相手先別期末現在高が50万円以上のもの(50万円以上のものが5口未満のときは期末現在高の多額のものから5口程度)については各別に記入し、その他は一括して記入してください。
このようには書かれていますが、50万円未満でもできるだけ各別に記入した方がいいと思います。その他で多額の残高を記入し疑われないようにしましょう。
売上の大半を1社が占めていることがあります。特に製造業で見かけます。その1社が誰もが知っている大企業であると、経営者は銀行は評価してくれると考えるかもしれません。確かに無名よりも有名企業の方がプラスではあるでしょう。しかし、1社に依存する経営はリスクがあると考えるのです。
銀行の視点からいうと、取引先は分散し、1社減ったところで経営への影響が軽微であることが理想的です。特に大企業なら下請け企業を切り捨てる、強い値下げ要求をしていくることがあります。銀行の評価以前に経営を安定させるためにも、依存度を引き下げるよう経営していきましょう。
ただ、あまりにも取引先が分散していると経営の効率は良くないでしょうから、バランスを取る必要はあると思います。
銀行はこのように架空計上、不良債権発生等を確認したいと思います。売上が増加傾向でもないのに、売掛金が増加していたら銀行員は気になるのです。
売上債権回転期間という指標があります。売上債権回転期間とは、売上債権(受取手形や売掛金等)が現金として回収されるまでの期間を示している指標です。計算式は次のとおりです(詳しくは売上債権回転期間のページを参照してください)。
売上債権回転期間=売上債権/月商(ヶ月)
この日数が長期化していれば、回収不能や入金遅延が発生、請求漏れ等の債権管理が杜撰、あるいは利益を出したいがために架空売上を計上したことが考えられます。粉飾をしてはいけないですし、売上債権の入金管理を徹底する必要があります。
もし期末近くに売上が急増したことが原因で、期末の売上債権残高が多額になっているならば、銀行から質問を受ける前に説明しておきましょう。
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