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日本人の死亡原因トップはがんです。しかし、がんは早期発見と治療を行えば治る、またはがんとの共存状態であっても、高い確率で生存できる病気になってきました。

それは企業経営でもまったく同じことがいえます。

誰もが知っている「がん治療」の常識

よくがんでは「ステージⅠ」「ステージⅣ」という言い方をします。進行度合いを示すわけですが、国立がん研究センター中央病院のホームページには、結腸がんと直腸がんのステージごとの5年生存率が紹介されていました。

これを見ても明らかなとおり、ステージが進むごとに生存率は低下し、ステージⅣにいたっては20%にも満たない状態です。

早期にがんを見つけて治療することの重要性がよく分かります。

がんの種類によっても異なりますが、多くはステージⅠなら生存率は90% 〜 95%であったものが、進行が進みステージⅣになると、一部を除き生存率は一桁台~20%台まで低下します。

ステージⅠ、つまりがんがその臓器の表面や一部にとどまっている段階で見つけることができれば、現代の医療では「ほぼ治る病気」になっています。治療も短期間で済み、費用も最小限に抑えられ、何よりこれまで通りの生活を取り戻しやすくなります。

しかし、これがステージⅣになってから見つかると、生存率は一気に下がり、治療は長期化し、肉体的にも精神的にも、そして経済的にも大きな負担を強いられることになります。

医療の世界において、「早期発見・早期治療」に勝る特効薬は存在しないのです。

「企業経営」もがん治療と同じ

ここまでがんの話をしてきましたが、ここからが本題です。

経営者のみなさん、このがんの話を「他人事」として聞いてほしくないのです。なぜなら、企業も人間と同じように病気にかかり、ステージが進めば倒産(死亡)に近づくからです。

会社の財務や資金繰りが悪化していくプロセスを、がんのステージに当てはめて説明します。
 

【経営のステージ Ⅰ】(早期の違和感)

経営状態: 決算書上は黒字で見栄えは悪くありません。しかし、なんとなく「手元の現預金が増えない」「売上は上がっているし利益も出ているのだが、資金繰りが窮屈」といった“違和感”がある段階です。

対策: この段階で相談していただければ、キャッシュフローの構造を少し見直したり、銀行への説明の仕方を少し変えたりするなど、「小さな治療」で健全経営に戻せます。生存率は90%以上の段階です。
 

【経営のステージ Ⅱ〜Ⅲ】(進行)

経営状態: 「赤字決算に陥った」「手元資金は増えないが借入金が増えた」「手元資金が少ないため、既存の借入金を返すために新しい融資を受ける対応が必要」になっている状態です。病気が徐々に奥まで進行しています。

対策: 銀行交渉の見直しや、本格的なコスト削減など、「経営者として痛みを伴う治療」が必要になります。しかし、まだ十分に立て直せる可能性が高いです。
 

【経営のステージ Ⅳ】(末期・手遅れ寸前)

会社の状態: 税金を滞納し、どこの銀行からも追加融資を断られ、資金ショート寸前の状態です。返済の猶予(リスケジュール)、ノンバンクやファクタリングへの駆け込み、取引先への支払い遅延を考えざるを得ない段階です。

生存率・治療法: 病気が会社全体(取引先や従業員)にまで影響を及ぼし、選べる選択肢(治療法)が極めて限定されてしまいます。取引先への支払いが遅れることで今後の商品の仕入れに影響が出ますし、従業員に十分な給与が支払えなければ退職者が増加します。倒産(死亡)の可能性が極めて高いといえます。

なぜ経営者は「ステージⅣ」になるまで放置してしまうのか?

当社にご相談される企業様は大きく2つに分かれます。ステージⅠとステージⅣからのお問い合わせが多いです。

ステージⅠの経営者様からは、「当社は特に大きな問題はないと思いますが、それがずっと続くとは考えていません。何か数字でおかしなところがあれば、どんな小さなことでもいいから指摘してください。数字以外にも気になることがあったらどんどん言ってください」と、顧問契約をしてくださいます。

しかし、ステージⅣの経営者様からは、「もう銀行がリスケに応じてくれない」「税金や社会保険料の未納が多くてどうしていいか分からない」「赤字決算が3期も続き、銀行が融資してくれない」など、非常にまずい状態になるまで誰にも相談していないのです。

顧問税理士に相談していたとしても、あまりしっかり対応してもらえていないケースがあります。だから「まだ大丈夫だ」と判断を誤ってしまうのでしょう。

早期に経営を改善しない、あるいは相談をしないのには、「自社のみっともない経営を他人に見られたくない」「まだ何とかなるだろう、きっと自社だけで何とかなる」と現実から目を背けてしまうことが原因だと思います。また、誰にいつ相談したらいいのか分からない、常に誰の協力を得たらいいのかも分からない、だから一人で抱え込んでしまうのでしょう。

まとめ:経営者のみなさん、放置したままで大丈夫ですか?

健康診断に行かない人が「痛みがないから大丈夫」「忙しいから後回しでいいや」と言うのと同じように、多くの経営者も「現預金残高は減少しているけれど、まだ資金繰りは回っているから」「(減少傾向とはいえ)利益は出ているから」と、明らかに異常が出ているのにそれを放置してしまいます。

しかし、先ほどのがんと同じで、赤字決算が続き、資金ショートの危機が発生した時には、すでにステージⅣまで進行しているケースがほとんどなのです。

当社は、顧問先企業が倒れそうになって「救命救急センター」に駆け込むような経営にならないよう、決算書や試算表の“違和感”を見つけ出し、企業の体質を根本から改善する「経営のホームドクター(かかりつけ医)」の役割を果たします。

「決算書の数字にちょっとした違和感がある」「なんとなくこれからの資金繰りに不安がある」、その段階でのご相談が、企業の生存率を高めます。ステージⅠの段階から経営をチェックしていきましょう。

そして、ステージⅣの企業様は、直ちに抜本的な経営改善が必要です。

手遅れになる前に、健康診断を受けるような軽い気持ちで、ぜひ一度ご相談ください。

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代表者紹介

瀬野 正博

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著書紹介

『決算書の違和感からはじめる「経営分析」(第3刷)』
(日本実業出版社)
■丸善丸の内本店【週間ベストセラー】『ビジネス(経営)』では最高3位、10位内には20回入りました。
■Amazon売れ筋ランキング最高1,618位、会計基準1位、財務諸表3位