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銀行からお願いされることはあまりないと思いますが、信用金庫や信用組合と取引きをしている中小企業は、「定期積金(積立預金)作ってください」と一度は言われたことがあるでしょう。

定期積金とは、積立期間を決めて毎月、掛金を払い込み、満期日に受け取る預金商品です。

定期積金を依頼する理由

銀行が定期積金の作成を依頼してくる理由は次のとおりです。

(1)保全目的
まず保全目的が考えられます。

企業とは長期間にわたる融資のお付き合いをしますから、その間には経営が悪化することもあります。もし返済が困難になったとき、融資と預金とを相殺することができます。

もちろん満期日に企業は自由に使うことができます。ただ、「満期になった定期積金を定期預金にしませんか」と提案してくることがあります。どちらも担保に入っていなければ引き出しは可能ですが、定期預金はそれが難しい場合があります。

担保ではないが保全強化に役立つことから提案してくるのです。

もちろん目的があるのなら定期預金にしてもかまいません。例えば「余裕資金があるけど普通預金では金利が高い。でも株式投資ではリスクがあるから定期預金にしておこう」「来年、機械を購入するため融資を受ける予定だ。自己資金として出す分を普通預金から分けて定期預金で管理しておこう」などです。

そのような目的がないのなら無理に付き合う必要はありません。特に定期預金はそうです。資金繰りにゆとりがあまりないのなら、普通預金に入れて使えるようにしましょう。業績が悪化すると何か理由を付けて解約を思いとどまらせようとするからです。

(2)訪問する理由を作るため
定期積金の掛け金を払い込む方法としては、普通預金等からの振り替え、窓口での払い込み、そして企業担当者が訪問して集金するなどの方法があります。

最近は普通預金からの自動振替が中心にはなってきました。しかし、あえて集金にしていることもあります。

①企業に変化はないか
変化といっても「良い変化」ならかまいませんが、「悪い変化」が起こっていないかチェックするためです。例えば次のような内容です。

・社内の雰囲気は明るく活気があるか
・掃除や整理整頓がなされているか
・従業員の退職が増えたりしていないか
・銀行以外の金融業者らしき人物が出入りしていないか
・商製品が倉庫できれいに保管されているか
・いつ訪問して機械が動いているか


以前と比べて何か悪い変化があると、徐々に決算書の数字にも表れるので注意しているのです。

②取引を強固なものにしたい
定期的な訪問は情報収集には効果的です。経営者や経理担当者は来てくれる担当者を徐々に信頼すれば、社内の情報や資金繰りの相談をするものです。

これからも積極的に付き合いたい企業には集金を理由に訪問し、今後の業績や資金繰りに関する情報を他行より早く聞き出すことで、融資の提案と獲得につなげたいのです。

企業が定期積金をする目的

銀行によっては、企業の定期積金は毎月の積立額がいくら以上でないと、担当者の成績にならないことがあるかもしれません。

できることなら自社の担当者に協力してあげたいところですが、積み立てのせいで支払いや返済に影響があってはなりません。

定期積金作成を依頼されても、資金繰りが厳しいなら無理な付き合いは不要です。もし金額はいくらでも構わないというのなら、少額でお付き合いしてもいいでしょうが。

企業が自主的に定期積金をするなら次のような目的が考えられます。

(1)将来の設備投資のため
機械や車両など高額な設備を購入するための資金を銀行融資で調達する場合、できれば多少なりとも自己資金も用意したいものです。

余裕のあまりない資金繰りから少額でも積み立て、銀行に「購入金額の2割を自己資金で積み立てました。残りを融資でお願いします。」と伝えれば、銀行も努力を評価し稟議書が作成しやすいし、支店長や本部の承認も得やすいでしょう。

(2)納税資金の確保
企業にとって納税、特に消費税額は大きな負担になることがあります。とても一括で払える金額でなかった経験をされた経営者もいるでしょう。消費税については「消費税の納税対策」もぜひご確認ください。

日頃から今期はどらぐらいの納税額になるのか把握していればいいのですが、それをしていない中小企業は結構多いです。ひどい場合は、申告が終わった時点で納税額がいくらか知ったという話も聞きます。

毎月いくら積み立てなければならないのかは、これまでの納税額からある程度予想できるでしょう。全額を定期積金で用意できなかったとしても、やっておくと後で楽になります。普通預金に入っていると使ってしまいそうなら、定期積金にしておきましょう。

定期積金についてまとめ

定期積金について以前は集金が一般的でしたが、現在は普通預金などから振り返る方法が多いかと思います。しかし、銀行によっても考えが異なります。集金に時間をかけるのは非効率だから原則は自動振替という考えもあれば、あえて顧客との接触を増やすために集金をしている銀行もあります。

もし「集金させてほしい」と言われたら、担当者と接触する機会が増えるチャンスだと捉えたほうがいいと思います。

普通預金などにゆとりがあるならお付き合いは構いませんし、納税資金を用意するため別管理するなどの目的があるなら定期積金は有効です。

しかし、その分だけ自由にできる資金が減少するので、資金繰りがいつもギリギリの企業は無理をしない、あるいはできる範囲でやるようにしてください。

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瀬野 正博

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『決算書の違和感からはじめる「経営分析」(第3刷)』
(日本実業出版社)
■丸善丸の内本店【週間ベストセラー】『ビジネス(経営)』では最高3位、10位内には20回ランクイン。
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