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中小企業庁は9月27日に、セーフティネット保証(5号)の対象業種を全82業種に拡大している措置を、平成24年3月末まで延長すると発表しました。
当初は平成23年9月末までの予定でしたが、東日本大震災からの復旧・復興や円高の影響を踏まえ、全業種対象を更に半年延長することになりました。
東日本大震災発生から9月23日までの利用実績は約11万件、金額でも1兆6138億円と非常によく利用されています。当初の予定では、今年4月以降は82業種から48業種と大幅に縮小される予定でしたから、この延長で救われる中小企業も多いと思われ、これについては評価するべきだと思います。
今回の延長に伴い、セーフティネット保証(5号)の内容は以下のようになります。
・対象者
業況の悪化している業種として指定された業種(平成23年下半期は、原則全業種である82業種)に属する事業を行う中小企業者であって、経営の安定に支障が生じていることについて、市区町村長の認定を受けた中小企業者。
・企業認定基準
(1)最近3か月間の月平均売上高等が前年同期比5%以上減少している中小企業者。
(2)製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入れ価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者。
(3)円高の影響によって、原則として最近1カ月の売上高等が前年度月比で10%以上減少し、かつ、その後2カ月を含む3か月間の月平均売上高等が前年同期比で10%以上減少することが見込まれる(※2)中小企業者。(※3、※4)
※2:最近2カ月の売上高等の実績値とその翌月を含む3か月間の見込み値で認定申請することも可能。
※3:売上高等の減少が円高によるものであることを具体的に記述した書面(理由書)が必要。
※4:(3)の基準については、平成23年10月以降の認定申請から適用。
・その他
保証限度額:一般保証とは別枠で、無担保保証8千万円、最大で2億8千万円。
保証割合:借入額の100%。
保証料率:概ね1.0%以下。
2011年09月30日
中小企業庁のホームページにあった資料によると、東日本大震災復興緊急保証が7月1日現在、保証承諾20,710件、5876億円に達したことが明らかになりました。
東日本大震災復興緊急保証(以下、震災緊急)は5月23日から取り扱いを開始し、直接及び間接被害を受けた中小企業を対象に、資金繰りを支援する制度です。各銀行ともセーフティネット保証同様、融資の主力商品と位置づけています。
全国で最も利用が多いのは東京都で、東京信用保証協会は6235件、1615億円の保証を行っており、全国に占める東京都の割合は件数で30.1%となっています。震災の直接・間接被害が多い東日本地域を中心に震災緊急の利用が多いのですが、直接よりも間接被害での利用が全体の7割を占め、意外にも特定被災区域の岩手、宮城両県の利用が現状では少ない状況です。
今回の震災緊急では保証を受けるために、特定被災区域外の中小企業が申し込む場合は、売上減になった「理由書」の提出が求められることが面倒であったり、要件になっている前年同期比の売上減少が−10%(あるいは−15%、緊急保証制度の時は−3%以上)以上というところがネックであったりするからでしょうか、緊急保証制度の時のような申込者が窓口に殺到するケースは少ないようです。
2011年07月15日
5月23日から開始される東日本大震災復興緊急保証は、信用保証協会の100%保証であることから、各銀行でも今年度の融資営業の中心と捉えて推進していくようです。 すでにこの制度が確定したと同時に営業活動を行っている銀行がありますし、大手銀行でも積極的に動いています。どこも保証枠の獲得に積極的です。
・東日本大震災復興緊急保証の概要
東日本大震災復興緊急保証は信用保証協会の保証ではありますが、セーフティネット保証(5号)・災害関係保証の特別保証枠とはさらに別枠での保証となります。
つまり
一般保証枠 2億8,000万円(うち8,000万円まで無担保)
特別保証枠 2億8,000万円(うち8,000万円まで無担保)
今回の別枠 2億8,000万円 (うち8,000 万円まで無担保)
と3段階になります。
今までは一般枠と特別枠の合計5億6,000万円が上限でした。そして、今回新設された東日本大震災復興緊急保証は、従来の特別保証2億8,000万円とは別に2億8,000万円の保証という事になります。 よって、特別保証枠は5億6,000万円(うち無担保1億6,000万円)ということになります。一般保証も考えると、8億4,000万円の保証枠ということになります。
・対象:震災被害により、経営に支障を来たしている以下の中小企業者
(1) 特定被災区域内で今般の地震・津波等により直接又は間接被害を受けた方
(2) 原発事故に係る警戒区域・計画的避難区域・緊急的避難準備区域内の方
(3) 特定被災区域外で特定被災区域内の事業者との取引関係により被害を受けた方等
※特定被災区域:東日本財特法第2条第3項に規定する区域(岩手県、宮城県、福島県の全域、青森県、茨城県、千葉県、新潟県、長野県の一部の市町村)
・保証割合:融資額の100%
・保証料率:0.8%以下
・資金使途:事業再建資金その他の経営の安定に係る資金
・要件:利用対象者は、特定被災区域と特定被災区域外で分けられています。詳細については中小企業庁のHP東日本大震災復興緊急保証の概要(2)を参照してください。
特定被災区域以外で要件の中に出てくる理由書というものは、震災災害によりどのような影響を受けたかを説明する書類ですから、受けた影響の内容を具体的に説明すればいいのでそれ程難しいものではありません。
しばらくは自治体によって認定基準に温度差が発生する懸念があります。またこういう制度は、緊急保証制度の時のように途中から条件などに変更がある場合がありますから、時々は制度内容を確認しておくといいでしょう。
2011年05月23日
中小企業金融円滑化法は平成24年3月31日までと1年延長されました。今までの実績として、去年12月末までは96,9%の条件変更に応じ、明らかに銀行側もこの法律を意識し過ぎて、かなり無理してリスケジュールに応じているという雰囲気でした。
今回の中小企業金融円滑化法の延長に伴い、金融庁は事業継続が難しい中小企業に対しては、自主廃業や債務整理の助言等も含め機械的に条件変更に応じずに、各銀行の判断を尊重することにしました。 銀行側としては、これで少しは適正な審査が期待できると思うかもしれません。
中小企業は経営資源が乏しいために経営再建が難しいところも多いですが、経営改善意欲がない企業ですら、申請があれば応じる事を前提に審査しているのが現実です。
しばらくは東日本大震災の影響や、今までの支援内容との整合性もあるでしょうから支援姿勢に急激な変化はないかもしれませんが、今後は経営資源どころか経営改善意欲のない中小企業は、支援を打ち切られる可能性が高くなったと認識しておいたほうがいいでしょう。
また、東日本大震災によって融資先企業が一時的な赤字や延滞が発生しても、債務者区分を引き下げなくて済む特例措置を発表しています。大震災によって直接被害を受けた場合以外に、計画停電や原材料の調達難などによって業績が悪化した場合も対象となります。
2011年04月13日
東日本大震災の影響であまり目立たないニュースとなってしまった感じですが、先月31日に中小企業金融円滑化法を1年延長させる「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律」が可決され成立しました。これによって中小企業金融円滑化法の期限は、平成24年3月31日までとなります。
金融庁が3月28日に、銀行における22年12月末までの条件変更の実績を公表しました。実行率は96.9%と依然として高い水準を維持しています。
(注)実行率=実行件数÷(実行件数+謝絶件数)
それにしても758,798件、25兆6,741億円もの条件変更がなされている事には驚きますし、それだけ多くの中小企業が資金繰りで悩んでいる事がわかります。 実行率はほぼ100%と言ってもいいですが、平成21年12月末での実行率99.3%からは若干低下しており、謝絶された件数は24,026件あることも忘れてはなりません。
2011年04月08日
※このホームページでは、中小企業が融資を受ける金融機関を原則「銀行」、そして社長、経営者、代表者を「経営者」で統一しています。